1月27日(金)
パレスチナでハマスが第1党になった。
選挙管理委員会は公式に発表した各党の獲得議席数は、132議席中、ハマスが76議席、ファタハが43議席。次の政権樹立に向けてハマスが主導権を握ることとなる。
今回の結果を受けてアッバス議長がすぐに辞任させられることはない。ただ議長は、和平に向けた追求が不可能であれば辞任もあり得る、としている。
ブッシュ米大統領は26日、イスラエルの破壊を主張し武装部門を有する政党と関係を持つことはない、との見方を示した。
さて、ここから先は単なる与太話だが、自分で思いついた与太話に頭がクラクラしてきた。某麻雀漫画で風に言えば「ザワッ、ザワッ」という感じだ(解る人には解る)。以下の話は、ひとつのネタだと思って読んで下さい。信じてはいけません。
新約聖書を読むと──と言うほど読んでいないし、そもそも聖書を持っていない──イエス・キリストの奇跡が、傷や病を癒したり、死人を蘇生させたりする話が出てくる。実際のところは判らないが、これは、庇護を受けられない人びとに対してイエスの教団が医療・福祉を提供していたことのメタファーではないかと空想してみた。
それに、イエス・キリストが白人だったとは限らない。下のBBC のサイトでは、有色のイエス・キリストの想像図が掲載されている。
この空想が万が一にも的を射ているとするならば、はるか昔にイエスの教団が民衆の支持を集めた理由と、現在ハマスが民衆の支持を集ている理由に共通性が見られると言うことになる。現在相対している二つの宗教が、時空をズラすことで見事にダブる。いま、イスラム教徒が避難されている様を見るにつけて、キリスト教徒が、ナザレでユダヤ教徒から、のちにローマ帝国から迫害されていた有り様も、こんな感じだったのではないか、という思いが頭をよぎる今日この頃。
パレスチナ評議会選でハマスが第1党に、中東和平に影響も(ロイター、2006年1月27日)
日本の新聞やテレビではアメリカ以外の海外情報が充実していないうえに、中東情勢そのものが複雑なこともあり、ハマスに関する安易なレイベリングが横行している──すなわち、多くの人にとってハマスとは、第一義的に、自爆テロの実行者である。「テロリスト」がかくも人気を集めるのはなぜか? 伝え聞くところによると、脆弱なパレスチナ自治政府が充分にカヴァーできない医療・福祉・教育などのインフラを担っているのが、他でもないハマスなのだとか。確かに、反米・反イスラエル感情の高まりがハマスを第一党にした動因には違いないが、そうでなくとも、パレスチナ民衆がハマスを支持する一定の素地は存在していると想像できる。
【ガザ 26日 ロイター】 25日に投票が行われたパレスチナ評議会選挙で、イスラエルとの対立を掲げるイスラム原理主義組織ハマスが、パレスチナ自治政府のアッバス議長の与党ファタハを引き離して第一党となった。イスラエルとの和平協議再開への流れは急速に後退する可能性も出てきた。
○BBC NEWS | Magazine | So what colour was Jesus?
http://news.bbc.co.uk/1/hi/magazine/3958241.stm
1月28日(土)
交通博物館へ行ってきた。
同博物館は、万世橋の南詰、道路を挟んで「肉の万世」の向いに位置する。かつてその場所には万世橋駅が存在し、中央停車場(現在の東京駅)まで路線が延長されるまで中央線のターミナル駅として栄え、構内の「みかど食堂」はサロンとして賑わい、芥川龍之介や菊地寛などが通い詰めていたとか。初代の万世橋駅は、東京駅と同じ辰野金吾・葛西万司の設計で、写真を見ると外観もよく似ている。駅前広場には日露戦争の英雄、広瀬武夫中佐・杉野孫七兵曹長の銅像が鎮座していた。関東大震災でかなりの部分が消失し、燃え残った部分を活用し復旧したものが、ひと回り小さな二代目万世橋駅となる。1936 年に交通博物館が併設された三代目万世橋駅(現在の建物)が誕生し、1943 年に万世橋駅は廃止(正確には「休止」)された。設備や備品は、戦時中の物資不足を理由に、万世橋駅「休止」同日に開業した新小安駅で流用されたとか。
10時ごろに到着した。入場券は大人 310 円で、旧式の切符券売機のような機械で買う。手持ちの小銭がなく、古いゆえお札も新 500 円玉も使えない。入口前に展示してある SL と新幹線の間にちゃんとジューズの販売機がある。釈然としない気分でコーヒーを買って両替。入場すると、すでにゴッタがえしている。9時30分が開館のはずだが、鉄道ファンのガッツはすごい。入場後、閉館記念で復刻された硬券のキップを受け取る。有難みがよく解らないが、とりあえず取っておこう。
お目当ての万世橋駅遺構の見学の申込をしようと長い列に並ぶ(なぜ鉄道ファンでもない私が万世橋駅に興味を持っているかは、2005年12月17日の日記を参照)。学生っぽい若いスタッフが増員されているようだ。受付の女の人が鉄道博物館っぽくない。手続の際フル・ネームを訊かれた。個人情報の秘匿を信条とする私としては苦渋の決断だが、「ウソがばれて万世橋駅を見せてもらえなかったらどうしよう」などとあらぬ心配に心を乱され、ついつい本名を口走ってしまう。仕方がないと後悔していたら、後ろの初老の男性は「カトウキヨマサ」と答えていた。受付でもらった万世橋駅への入講パスには「11:35」と書かれている。まだ1時間半以上ある。パスを首から下げて博物館見学でもして時間潰しすることにする。
本物の車両を改造したようなトレイン・シミュレイターがある。鉄道ファンでない私はやり方が判らないので、他人がやっているのを後ろから見学。私にとっては、トレイン・シミュレイターよりも、トレイン・シミュレイターをやっている人のほうが見ていて面白い。プレイヤーに共通していることは、みんなやたらにウマい。指差し確認などを適宜はさみつつ、レバーの操作などが妙に小慣れているところが滑稽にさえ見える。鉄道マニアに混じって、時どき普通の親子づれがプレイするが、やり方が判らない子供がいると、傍にいる係員をさしおいて客の鉄道マニアが指導し始めたりするのがなんともいえない可笑しみがってよい。
展示されている SL の前に、昔風の車掌が敬礼している顔出し看板があり、記念撮影できるようになっている。親子連れが記念撮影しようとしているが、子供がなかなか顔を看板の穴に入れない。「はやく顔を入れなさい、はやく!」と怒鳴りつける母親の迫力に子供は泣き出していた。怒鳴るほどのことはない。ときどき、単独行動の女性もいた。女性の鉄道ファンがいても別に構わないはずだが、なんか不思議な感じがする。
鉄道の車両などの展示物のに混じって鉄道の歴代座席などという地味な展示物もある。座ることが出来るようになっているので、座ってみる。古い座席には、板張りのものと、板にゴザが張られたものがあったが、ゴザ張りの座席はけっこう座り心地がよい。ひと通り座り終えてその場を離れようとしたところ、「ガコン」という音とともに小太りの男が表情も変えずひっくり返っていた。座席の腰掛が外れて、ドリフの雷様コントの高木ブーよろしくコケていたのだ。壊れた座席を手際よく直すと、すぐに次の座席に座っていた。恐るべき手際の鉄道ファン。
なんだかんだで11時30分になり、遺構見学の集合場所あたりで待機。集合場所の目の前にガラス張りのジオラマが設けてあり、その中を鉄道模型(HO ゲージとか言うらしい)が走る。11時30分が模型の運転時間らしく、人垣ができている。係員の解説を聞きながら、ジオラマの中を疾駆する模型を見るのだが、鉄道に興味がない私には別段おもしろくもない。むしろ解説する係員のアクセントが独特なのが気になった。模型の運転が始まって2分後にはもう飽きていた私は、周りを見渡すと、近くにいた人も私と同じように遺構見学のパスを首から下げていた。ただ、パスに書かれた時間が「15:00」となっていた。これから彼は3時間半も待つのだ。ザマぁ見ろ。オレは3分後だゾ。
集合時間になったので集まったが、係員が来ない。じらし作戦か? 若い学生っぽい係員に先導され、いったいどこへ行くのか見当もつかないまま、博物館のなかをゾロゾロ行列して進む。すると展示物のあいだの壁に唐突に開いた扉の中に導かれる。いかにも遺構といった佇まいの狭い通路を通ると、少し開けたスペースに出る。JR中央線高架下レンガアーチの下に該る場所である。ここでプロジェクターで投影された映像を見てから記念撮影タイム。まさか博物館内で撮影できると思っていないのでデジカメなどもって来ていない。徒に時間を空費した後、つづいて、万世橋駅のホームへ移動。藍色に白抜きで「まんせいばし」と書かれた標識が遺構内の随所に掲げられている。今回のために復刻したとか。ホーロー看板のように鉄板に釉薬を塗った後、上から型紙を乗せて白くする部分の釉薬を掻き取る方法(「かっぱぎ製法」とか何とか)でつくられたとか。ホームへのぼる階段の金属製の滑り止めは戦時中に剥がされたという説明だった。結局、ホームに上がることはできず、ガラス張りになった階段の最上部からホームを見る感じだった。言葉ではなかなか通じないところもあるので、以下のサイトの写真などもご参照下さい:
○【フォトレポート】60年前の姿が今現れる! 交通博物館で“旧万世橋駅遺構特別公開”が始まる!
帰りにまた薄暗く狭い通路を通るとき、今回見学できなかった部分にもいくつか空間があるのが判った。「いったい何があるのだろう」と目を凝らしながら歩くと、隙間のひとつの奥に「ボランティア控室」の文字が見えた。館内のここかしこにいた臨時スタッフと思われる若い人たちがボランティアだったのかと思うと、鉄道ファンの無償の愛はスバラシイと感心した。オレなら、銭が出ない仕事は絶対やらない。
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2006/01/11/659933-000.html
http://akiba.ascii24.com/akiba/news/2006/01/11/659933-001.html
○Kai-Wai 散策: 交通博物館/万世橋駅遺構
http://mods.mods.jp/blog/archives/000767.html