The Hound on Internet
presents

オン・ライン読書会「シャーロック・ホームズを読む」の過去ログ
馬車男


トップ>企画案>シャーロック・ホームズを読む過去ログ>「マスグアレイヴ家の儀式」
オン・ライン読書会の「マスグアレイヴ家の儀式」の過去ログです。

「マスグレイヴ家の儀式」へ突入です。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 4月22日(金)00時13分16秒
次へ突入です。例によって簡単なまとめです。

「マスグレイヴ家の儀式」『シャーロック・ホームズの思い出』
"The Musgrave Ritual", Memories of Sherlock Holmes
依頼主:レジナルド・マスグレイヴ
依頼内容:リチャード・ブラントンの失踪およびそれに関わる謎の解決
事件発生年月日:1879年10月2日(らしい)
発表年:1893年5月(Strand Magazine, May 1893)
登場人物:
シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)
ホームズはホームズです。

ジョン・H・ワトスン(Dr. Johon H. Watson)
今回も聴き手。

レジナルド・マスグレイヴ(Reginald Musgrave)
ホームズと同じコレッジで学んだ学生。イギリス屈指の名門、マスグレイヴ家の生まれ。ハールストンのマナ−・ハウスに住む。

リチャード・ブラントン(Richard Brunton)
マスグレイヴ家の有能な執事。

レイチェル・ハウエルズ(Rachel Howells)
ウェールズ生まれの二番女中。ブラントンとの婚約解消以降、精神が錯乱している。

期間
1週間だと「気づいたら終っていた」ということが起こりそうで、参加の機会を狭めてしまいそうなので、今回は3週間に設定して様子を見させてください、すみません。

告知
「ボヘミアの醜聞」の過去ログもまとめてみました。読書会のページの「過去ログ入り口」からご覧いただけます。
  http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/Projects/ReadingSH.html

どなたでも、どこからでもご参加頂けます。ひとことだけでも、どうぞ。

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/

編集済


まとめだけだとナンなので……。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 4月22日(金)01時19分18秒
まとめだけでもナンなので、ちょっと話題を提供します。

疑問
事件発生年月日はどのようにして「1879年10月2日」と特定できるのでしょう。ちなみに「1879年10月2日」というのは、私が小学生の頃に研究入門書か何かのから写した手書きのメモに拠っています。ベアリング-グールドのクロノロジーに拠っているのではないかと推測しています(未確認)。『ミステリ・ハンドブック シャーロック・ホームズ』では「1879年10月」までしか限定されていません。
○ライリー&マカリスター[編](日暮雅通[監訳])
 『ミステリ・ハンドブック シャーロック・ホームズ』 (原書房、2000年)
  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4562032855/moujoulyouku-22/250-5630346-7174624

小ネタ
ホームズが壁に「V. R.」と書くのに用いた、「微力発射装置つきのピストルとボクサー弾」[新潮文庫版(延原訳)]について:

「微力発射装置」は「ヘアー・トリガー」(hair-trigger)のことで、非常に軽い引き金のことです。精密射撃に適しています。

「ボクサー弾」と訳されているのは「ボクサー・カートリッジ」(Boxer cartridges)で、ポクサー・プライマー(ボクサー型雷管)を備えたカートリッジ(いわゆる「弾」。厳密にはちょっと違う)のことです。 画像はここに出ています。
○ページの真ん中あたりにカートリッジの外観と断面の画像があります。
  http://www3.kiwi-us.com/~ingle/topix-2/snider.html

以下は、Turk Takano[監修・編集]『GUN用語事典』(国際出版、1999年)による定義。ちょっとマニアックかもしれません:

ヘア・トリガー
[Hair Trigger]
 競技用ライフルとピストルに用いられるトリガー(引き金)。
 非常に軽いトリガー(張力 50g 前後)の俗称。髪の毛(ヘア)が触っただけで落ちる程軽いというところからきている。機構はメーカーにより様々だが、安全性と毎回平均した張力というシリアスなもの。かつ射手の好みに応じた調整可ということで、ものによってはきわめて複雑なものとなっている。
 現在、これまでのレバーなどを使う機械式のほか電気式のものもある。主流は機械式だが、フリー・ピストル(スイスのヘンメリー)などは電気式が増えている。

ポクサー・プライマー
[Boxer Primer]
 ボクサー型雷管のこと。
 これは英国の著名な造兵将校だったエドワード・ボクサーによって開発された雷管、ベルダン型と異なり、発火金が雷管に内蔵されている。また伝火孔(フラッシュ・ホール)も中央に1個、使用後には雷管ケース内からピンで突いて容易に抜き取ることができる。
 このため、英国で開発されたボクサー型は米国で普及し現在にいたっている。ちなみに日本では、戦前の旧日本軍はベルダン型プライマーを使用していたが、戦後は自衛隊・民間用ともにボクサー型プライマーを使用している。

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/

編集済


こんにちは!  投稿者: OTOWA  投稿日: 4月28日(木)12時17分43秒
みなさんお久しぶりです。
前回の「グロリア・スコット号」では引越しなどに時間をとられ、参加できずに終わってしまいました。
残念。
「マスグレイヴ」からまた参加致しますのでよろしくお願いします。
ようやくダンボールから本を発掘しました。
とりあえず、弾丸で部屋の壁を穴だらけにされてもホームズを家から叩き出さなかった家主婦人に乾杯。
片付けるよう要求され、悲しげな顔を向けたホームズに、
「うんうん、今なら気持ちよくわかるよ…」と自分の家の惨状から目を背けたくなるotowaでした。
それではまた後ほど、まずはご挨拶まで。


お帰りなさいませ。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 4月30日(土)16時24分55秒
OTOWAさん:
お久しぶりです。もし私の部屋の壁に「V. R.」の文字を撃ち込んだりしたら、敷金は一銭たりとも返ってこないでしょうね。どうしてホームズは「V. R.」の文字を選んだのでしょう? 王家に関わる作品なので、その伏線なのでしょうか? それにしても、徒然に弾痕で壁に文字を書くというのは、今で言えば、電話中にメモパッドに訳の解らない絵を描いてしまうのと似た感覚なんでしょうか? 「マスグレイヴ家の儀式」では、ホームズの射撃の腕がフィーチャーされるわけでもありませんし、不思議な挿話です。

「マスグレイヴ家の儀式」は、作品全体を貫く陰鬱で怪異な感じが良いですね。レイチェルの存在がその効果を増大させている感じがします。正典ではレイチェルの行方は杳として知れない訳ですが、記憶違いでなければ、グラナダ版では大オチで登場(?)していたような気がしましたが、確か(自信はありません)。レイチェルの行方は判らないほうがよいのか、グラナダ版のように(私の記憶が間違いないという前提で言えば)最後にあのようなかたちで登場するほうが効果的なのか? 芥川の「羅生門」みたいですが……。

作品に関係ないのですが、古書展で手に入れた雑誌『ユリイカ』の中島敦特集号は、吉田健一追悼号も兼ねているようでした。かの「バリツ・クラブ」の設立メンバーでもある吉田健一氏が吉田茂元首相のご子息と知ったときは驚いたものですが、ホームズのサイトを立ち上げ、読書会を企画したこの時期に、この追悼記事に出くわすというのも、不思議な偶然だと感じた今日この頃です。

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/


気になったこと  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 5月 8日(日)15時08分54秒
すっかり連休モードの今日この頃でした。「マスグレイヴ家の儀式」も木曜までとなりましたので、遅ればせながら、いくつか気になったことを書きます。日本語の引用は新潮文庫版(延原訳)に拠ります。

第二の事件は?
「『マスグレーヴ家の儀式』事件はその第三番目の事件」ということですが、第二の事件が気になります。

物語終盤のホームズの推理についてのまわり道
「レーチェルは自分の罪の足の付く唯一の証拠を湮滅するために、早いところ池のなかへ投げ込んでしまったのだ」というホームズの推理についてヘリクツを。

「ブラントン失踪の三日後の夜」にレイチェルの寝床がもぬけのからになりました。となると、丸三日は自分の部屋に麻袋を隠しもっていたことになるので「早いところ池のなかへ投げ込んで」というのは、チョット納得いかないと思いました。

レイチェルは、日が経つにつれて罪悪感が募って池に証拠品に遺棄したとか、また他の理由(精神錯乱など)から発作的に「古金物と石ころ」を池に投じたとかのほうが、説得力がある様な気がします。

……と、新潮文庫版(延原訳)を読んで考えたのですが、英語版を確認すると "She had thrown them in there at the first opportunity to remove the last trace of her crime." となっています。つまり、「早いところ」投げ捨てたのではなく、レイチェルが、看護婦の居眠りという、証拠隠滅の「最初の機会に」目を盗み、証拠品を投げ捨てたということです。翻訳上の問題で思いがけずまわり道をしてしまいました。まぁ、それも愉しいのですが。

王冠
発見時は「赤さびになった大きな金物」(英語はチョット違って "a mass of old rusted and discoloured metal")と思われたものが、最後には王冠であると判ります。材質は一体何だったんでしょうか? 金が錆びるとは思えないのですが。

前にも書きましたが
正典では行方不明のレイチェルは、グラナダ版では最後に登場(?)していたと思いますが、私の記憶、正いですよね?

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/

編集済


※重要※ ご注意下さい。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 5月 9日(月)12時21分34秒
5月8日(日)17時30分7秒付けで「聞いてビックリ」というタイトルの書き込みがありましたが、調査の結果、ブログを利用したワン・クリック詐欺の可能性が濃厚と判明しましたので、昨日の深夜に削除しました。この読書会の参加者・閲覧者に不利益を及ぼすと思われる書き込みは、主催者である私の判断でバシバシ削除します。

クリックによりトラブルが発生した場合も、残念ながら当方としては責任は取れません。読書会に関係のない書き込みに貼られたリンクは、クリックなさらないことをおすすめします。

何でもカンでも自己責任。嫌な時代になりました。

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/


こんばんわ  投稿者: KUKU  投稿日: 5月 9日(月)23時05分32秒
ゴールデンウィークということもあって、なかなか読めずにいました・・・マスグレイヴ家の儀式は私の好きな作品の一つです。確かグラナダ版だと、ホームズとワトスンが一緒に行動していたような気がしていたので、二人が出会ったあとの話かとばかり思い込んでいました。がもう一度読み直してみると、そうではなかったのですね〜
管理人さんのいうようにグラナダ版では確かレイチェルは最後に登場していたと思います。でも死体となって池から上がってくるようなシーンで終わっていたような気がするんですが・・・(ずっと前に見たのではっきりとは覚えていませんが・・・)
グラナダ版と比較するのも面白いですね


井戸を掘る。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 5月10日(火)00時01分38秒
KUKU さん:
書き込みありがとうございます。誰も汲みに来ない井戸を掘っているような気持ちに陥って、すっかり消沈していたところです。

さて、私も「マスグレイヴ家の儀式」は結構好きな作品です。読み返してみると、改めて面白いですね。短編ですが、これをモチーフにして長編に展開できそうな内容だと思います。

グラナダ版のラスト・シーンについては、自分の記憶通りだったことが確認できて嬉しいのですが、「ホームズとワトスンが一緒に行動していた」というのは、私の記憶からスッカリ欠落していました。そうだったんですね。私も見たはずなのですが……。どうして二人が登場する話になったのでしょうね。

みなさん:
次はこの読書会で初の長編『緋色の研究』です。今のうちに読み方について提案しておきたいと思います。賛否、提案など書き込みをお願いします。もちろん、「マスグレイヴ家の儀式」は木曜日まで続きますので、引き続き、書き込みをお願い致します。

提案
以下のように区切り、それぞれを2週間づつで読み進めるのはどうでしょう:

 第一部
  1 2/3 4 5/6 7
 第二部
  1 2/3 4 5/6 7

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/


(無題)  投稿者: otowa  投稿日: 5月11日(水)23時24分56秒
こんばんは。最終日に滑り込みます、すみません。
グラナダを観ようと探したのですが手に入らず……観たという記憶もないので最後に遺体でご出演と聞き、少々ショックを受けました。MasaruSさんの「作品全体を貫く陰鬱で怪異な感じ」とおっしゃるのもよく分かりますが、そうであればあるほどレイチェルの行方は謎に包まれたままの方が私の好みです(笑)。
この話の中では、ワトスンによって語られるホームズの奇行の数々や、彼自身の語る「ロンドンへ出たての頃」のことなどが興味深く印象に残っていました。
『創元』ではそのあたりを読むと、彼の大学はきっぱりロンドンではありえないような書き方ですよね。
また、暗号文もお気に入りです。
これを解いていくホームズの嬉々とした姿が目に浮かぶようでわくわくしました。
「彼の賢さを計算した上で、自分が同じ立場に置かれた」場合を考えるというホームズの方法が明らかにされていますし、「男というものは」の意見、女の心情を想像する場面と、私には宝物のいっぱい詰まった作品です。
(自分はかしこい人間だと暗に主張しているところも笑えてしまって……)
執事の惨い死に様や由緒正しい古屋敷の雰囲気の暗さが、なおさらその(音羽にとっては)明るい部分と相俟って、……やっぱりレイチェルにはもっと違う演出をして欲しかった……(好きな方、ごめんなさい。我侭言ってます)


また失敗(苦)  投稿者: otowa  投稿日: 5月11日(水)23時34分4秒
また途中で投稿してしまいました。
最後に言った「演出」というのは、グラナダの方のことです。

次回の区切り、了解致しました!頑張って読みます!
これも大好き〜〜って、結局60篇全部好きだったり。(笑)


私もそんな気がして来ました。  投稿者: 管理人 MasaruS  投稿日: 5月12日(木)21時26分16秒
otowa さん:
「『創元』ではそのあたりを読むと、彼の大学はきっぱりロンドンではありえないような書き方ですよね。」についてですが、よろしければ、次の書き込みのついでにでも具体的に教えて頂けませんか? 新潮文庫版(延原訳)では、あまりそういう印象を受けなかったので、訳文の違いを比べたりできると面白いかもしれません。

「結局60篇全部好きだったり」――私も、段々そんな気がして来ました。読み返すと、どれもちゃんと面白いところがスゴいですね。これがハマると言うことなんでしょうか?

http://homepage2.nifty.com/MasaruS/Hound/


オン・ライン読書会の「マスグアレイヴ家の儀式」の過去ログです。
戻る  トップ・ページへ

This website is produced and maintained by Victor Archer Fleischmann & Masaru S
Copyright©2005 The Hound on Internet