The Hound on Internet

トップ守衛所日誌>2005年9月前半
守衛所日誌
思いついたことを、思いついた日に書く不定期日誌。

2005年9月前半

9月1日(木)

最近、TUBE が競艇の CM に出ている。昔は湘南の海にいたはずだが。そのうち釣り堀の CM にでも出るか?


9月8日(木)

小林よしのりは人気がある。特に 20 代から 30 代の若い世代に影響力があり、なんでも『ゴーマニズム宣言』を読んで「目醒める」人が多いらしい。漫画だから読みやすい。売れている。最近も『新ゴーマニズム宣言SPECIAL 靖國論』(幻冬舎、2005年)がベスト・セラー・ランキングに名を連ねていた。そのちょっと前に『新ゴーマニズム宣言SPECIAL 沖縄論』(幻冬舎、2005年)も平積みになっていた。よしりんに印税を供するのは癪だ。かと言って読まずに批判するのはフェアーではない。かくなる上は──そう、立ち読み。読んでみてやはり問題があるし、ひとこと言っておきたい。ただし、買っていないので手許に本はないので、一字一句正確な引用はできないのはご愛嬌。

 先ず気になるのは、本の前半で、町の人たちに声をかけられたり、コーディネイターの大学教員が小林に共感していたりと、沖縄でも小林が支持されていることが繰り返し強調される。何かあると思いながら、読み進める。沖縄についての知識をさらう意味では、役に立つ部分もある。ただ、ある知識人の「琉球処分は侵略だ」という主張に対し、小林が「同じ民族だから、琉球処分は統合だ」と応じるところが気になった。ここも臭う。 

 「沖縄戦後史」と題された第三部は、反米抵抗運動家でマルクス主義者の瀬長亀次郎なる人物の半生記を軸に展開されている。はっきりいって、小林がマルクス主義者を賞揚していることが意外だった。瀬長亀次郎の抵抗運動の描写は感動的ですらある。なぜ彼が瀬長を取り上げるのか、読み進めるうちに判ってきた――小林は、「反米」を軸にして沖縄と一体化したいのだ。小林も沖縄人も反米という立場を共有する「同じ民族」であるから(と小林は言っているが、そうか?)共闘できると言いたいのだろう。前半で、沖縄でも小林が支持されていることが繰り返し強調されたのは、そのためのお膳立てか。「二級市民」の立場の辛酸を舐めさせられた沖縄の人たちにとって、靖國は、戦中には抑圧的に作用したはずだ。靖國を誉めそやす人間が沖縄と安易に共闘できるとは。

 作品終盤で、小林は友人の保守知識人たちに誘われて「主権回復記念日」なるイヴェントで講演をしたことを悔いていると述懐している。本土にとっての「主権回復記念日」が沖縄にとっては「屈辱の日」であることを知らなかった無知を罪として認めている。人は初めからすべてを知っている訳ではない。重要なのは、その無知の罪をどう受け止めるかが問題だ。小林は、罪を認めた直後、件の保守知識人たちを「何という恥知らず! それが愛国者か!?」と忿怒の表情で喝破する(よしりん、君はどうなの?)。日米安保が日本の生命線であるなら、沖縄こそ日本の生命線ではないか、と小林は件の保守知識人たちに、彼らのレトリックで切って返す。しかし、この話題についてはこれで終了し、それ以上は議論は深められない。

 本土にとっての「主権回復記念日」が沖縄にとっては「屈辱の日」であること──これこそが沖縄の現代まで続く問題の核心である。しかし、小林の「沖縄論」においては、この問題は真剣に論じられているとは言えない。私の目には核心的問題に映るこの事柄は、小林にとっては小林自身と親米保守知識人との差別化と小林自身と沖縄との一体化の具でしかないように読み取れてしまう。

Amazon.co.jp「本+CD Amazonギフト券還元プログラム」
■Amazonギフト券還元キャンペーンへのリンク

9月11日(日)

選挙だ。

こんな結果かよ。


9月12日(月)

帰りに駅で見かけた『日刊ゲンダイ』は、昨日の選挙結果を受けてのものだった。見出しがスバラシイ! 二面使った大見出しで「この国の民主主義は死んだ」──いかにも『日刊ゲンダイ』らしい! 思わず購入。

自民296、公明31、民主113、共産9、社民7 ……自民優勢とは聞いていたが、ここまでとは。神奈川の小選挙区は全敗というのも無惨。


戻る  トップ・ページへ

This website is produced and maintained by Victor Archer Fleischmann & Masaru S
Copyright©2005 The Hound on Internet

 Amazon.co.jp アソシエイト