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守衛所日誌
思いついたことを、思いついた日に書く不定期日誌。

2005年7月後半

7月17日(木)

フセイン元大統領が「起訴」されたそうだ。

フセイン元大統領を起訴 シーア派殺害、秋にも公判(共同通信、2005年7月17日)
 【カイロ17日共同】イラクのフセイン元大統領(68)の戦争犯罪を裁く特別法廷の予審判事は17日、1982年にイラク中部ドジャイルで起きたイスラム教シーア派住民の殺害事件に関し元大統領ら4人の捜査を終了、特別法廷に書類を付託したと発表した。予審判事は、今回の手続きにより「特別法廷は公判段階に入った」と述べ、事実上の起訴であることを明らかにした。
 昨年7月に始まった元大統領の司法手続きは約1年を経てようやく大きな節目を迎えた。秋ごろにも初公判が行われる見通しで、4半世紀にわたる独裁政権の実態解明を目指す。予審判事は「数日中に初公判の日程が決まる」と語った。
 イラク移行政府は元大統領の裁判を通じて、民主化の進展を内外に印象付けるとともに、旧フセイン政権支持勢力に打撃を与え、治安の安定につなげたい考えだ。
 イラク移行政府が行う裁判ではあるあるが、事実上、アメリカの息のかかった司法によるものだ。

 日本では、今でも「戦勝国が敗戦国を裁いた東京裁判は無効だ」と主張する議員や言論人がいるが、そういう人たちは、是非弁護側の証人としてフセイン元大統領を助けてあげて下さ〜い。アメリカが勝手にフセインを裁いちゃうヨ。

 アメリカでこんなこと書いたら反テロ法とかで手が後ろに回りかねないし、"You're un-American ! " などとなじられかねない。日本だって、いつまで大丈夫か判ったものではない。しかし、「非国民」という言葉がこれ程輝かしい響きを帯びる時代が来るとは、60 年前の日本人には想像もつかなかっただろう。

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7月18日(月)

Arthur Conan Doyle, The Original Illustrated "Strand" Sherlock Holmes: the Complete Facsimile Edition (Ware: Wordsworth Edition, 1989)Amazon.co.jp で購入。注文した翌日に来たので驚いた。

 ホームズの一冊全集で、 Strand に掲載されたものは掲載時の構成がそのまま生かされている。作品によっては "Next Month: ****" のように次回予告もそのまま残っている。つまり当時の読者の気分を味わえる趣向となっている。Strand 以前の作品(A Study in ScarletThe Sign of Four)はごく普通の版組なのが残念。Amazon.co.jp のレヴューでは「紙質が決して良い方ではないのと、印刷の限界で多少イラストがツブれてしまっているのがタマにキズ」とあったが、私にとっては気にならない程度。なんなら、もっと汚いほうが味わいがある。これで ¥1,107(税込)ならハッキリ言って安い(私は代引で買ったので手数料が掛かりました。クレジット・カード決済に未だに抵抗があるのです)。大満足でウハウハです。私はココしばらく機嫌が良いと思います。

 残念なのは、Strand 掲載時のノンブルが残っていないことかな。

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7月22日(金)

今年も『ルパン三世』のアニメ・スペシャルを見てしまった。

 今年のは、例年にも増してヒドかったなぁ。何十年もかけて練り上げられてきた魅力的なキャラクターと知名度があるのだから、後は面白い新しいストーリーを投入するだけのような気もするが、難しいのかなぁ。『ゴルゴ 13 』みたいにストーリーを公募するというテもあるのではないかと思ってしまう。

 ただ、「ルパン三世のテーマ」は何度聴いても名曲だなぁ。

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7月24日(日)

6月30日に、テレビで『未知との遭遇』をやるという番組宣伝を見て、録画予約して家を出た。別にどうしても見たい訳ではなかったが、名作として知られている映画なので、 一応見ておこうというぐらいのつもりであった。

 今日まで見る時間がなかった。古いSFなので、もっとショボいのか、とタカを括っていたが、実際に見てみて驚いた。意外とオモシロい(特に前半。後半はそこそこ)。『ジョーズ』を見たときも同じ様な感じだった。そういう意味では、スピルバーグとルーカスは、凄かったんだなぁ、と実感した。ちなみに、私はスピルバーグを『シンドラーのリスト』で見限った。ルーカスについては、かつて Panasonic の CM で「イツモ、something new」と言っていた頃は、ダンディーな男前の印象があったが、昨今の激太りが心配だ。ジョージ・ザ・ハット。

 ところで『宇宙戦争』The War of the Worlds の訳としてはオカシイのではないか。単に逐語訳でないというだけの意味ではない。原作をちゃんと読んでいないので断定的なことは言えないが、 "the Worlds" というところが意味深長で良いと思うのだが……。

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7月29日(金)

拉致被害者の帰国から随分時が流れたなぁ、と実感するニュースが出ていた:

安氏の陳述に「思い違い」 蓮池さんがコメント(共同通信 2005年7月29日)
 拉致被害者の蓮池薫さん(47)=新潟県柏崎市=は29日、元北朝鮮工作員安明進氏(36)が28日の衆院拉致問題特別委員会で行った陳述について「多少の思い違いがある」とするコメントを出した。
 蓮池さんは、朝鮮労働党中央委員会直属政治学校(現金正日政治軍事大学)で蓮池さんを目撃したとの安氏の陳述について「私たち(妻を含め)が金正日政治軍事大学にいたことはない。従って安氏にお会いしたことはない」と否定した。
 また、安氏が「北朝鮮を怖がらず日本国民のために証言してほしい」と蓮池さんに情報提供を呼び掛けたことに対し「知っているか、または目撃した拉致被害者の皆さんの情報は、すべて国やご家族にお話ししてある。情報の活用については国やご家族にお任せしている」と反論した。
 蓮池さんはその上で「(情報提供は)これからも要望があればやらせていただくが、マスコミへの公表は差し控えたい」としている。
帰国後間もなくは、明らかに、蓮池薫氏は「洗脳」が解けていない状態に見えたし、当時の報道でも言われていたが、帰国した拉致被害者の一団の統率者の役目を担っているように見えた。生き残るためには、対日工作に協力し北朝鮮に忠誠を誓うしか選択肢はなかったはずだ。その過程で徐じょに「洗脳」される結果になっただろうから、蓮池薫氏を責めたてるつもりは当時からなかった。

 早くも帰国直後に、「洗脳」が解けない弟に拉致に関する情報や本心を執拗ともいえるほどに聞き出そうとしていた徹氏の胆力に驚嘆したものだった。しかし、拉致被害者の家族が、それまで実質的にほぼ休眠状態に近かった拉致議連に活力を与え、次第にタカ派議員のドグマを喧伝する役割を押し付けられてゆくのを見るにつてけ胸が傷んだ。

 これに対して、今回のニュースは、蓮池薫氏が今や、反共・反北朝鮮のイデオロギーに絡め捕られているだけではないことを窺わせる。それと同時に、不確かで根拠の薄い情報ですら公表せざるを得ない、朝鮮人脱北者の日本における地位の不安定さを感じさせる。

 蓮池薫氏に見られるこのような変化の一方で、家族会は、未だに北朝鮮への経済制裁を求める声を強めている。経済制裁と拉致被害者の奪還を結び付ける発想には、明らかに短絡がある。経済制裁を現実的な政策の選択肢にするには、風が吹いてから桶屋が儲かるまでの論理を説得力あるかたちで説明する必要があると思う。

 ただ、そうした家族会の人たちに何かを言える筋合いは私にはない。それに、家族会の主張もある限定された意味では理解できる。自民党の主流派には無視され、北朝鮮へのチャンネルを持つ社会党は頼りにならず、拉致被害者のご家族は臥薪嘗胆の歳月を耐えてきた。やっと巡ってきた好機は、一時期はタカ派議員の反共イデオロギーの燃焼に勢いを与えたものの、今や関心は下火になりつつある。巷間言わるようにご家族の高齢化もすすみ、おそらく次のチャンスはないだろう。次がない以上、いま目の前にある可能性は、経済制裁要求のような実効性に疑問のあるものでさえ試さざるを得ない。実効性のある戦略を政府が提示しないことに、再び胸が傷む。


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