4月16日(土)
休みを利用して、溜まった洗濯ものを片付けた。
そのとき、雨樋の排水パイプを伝って、小動物が降りてきた。ヘタな子猫よりも遥かに大きい鼠だ。餌が豊富なのか、都会の鼠は肥え太っている。一瞬ビクリと驚いたが、その鼠を指差しながら小さく「ミッキー・マウス」と呟いてみたら、なんとなくミッキーな気がしてきて意外と許せた。部屋の中に入って来られたら困るが、ベランダで時どき会うぶんには、まぁ悪くはないだろう。
ミッキー・マウスだったら「やぁ、ミッキーだよぉ!」などと甲高い声で呼び掛けてくるだろうが、件の鼠なら酒で潰れたオッサンの声で「おい! おい! お〜い。ミッキーだよ。いや、ミッキーだったよ──バブルがはじけるまではなぁ」みたいな感じだろうか。
4月17日(日)
例の中国での反日デモへのリアクションとして、駐日中国大使公邸に赤いスプレーが吹き付けられたのを初めとした、中国に対する日本人(と思うが)による攻撃がポツポツと出てきた。イヤな感じになってきたな。起きて欲しくないことが起きた。韓国でも反日デモが打たれたとか。日中あるいは日韓という図式で考えれば、お互いが「侵略の歴史を美化し、反省をしない国」と「過ぎたことをいつまでも蒸し返す国」に見えるだろうが、戦後東アジア全体という図式で見直せば、違う見え方が可能なはずだ。
ところで、近所の商店街の魚屋の前を通ると、店の主人が「活きがイイのが揃ってるよ〜!」という感じの呼び込み文句を発していた。なるほど、活きのよさそうな魚だ──いや、待てよ、全部死んでいるじゃないか。「活きがイイ」というものの、よく考えてみれば、活簀で泳がせているものを除けば魚屋の魚は基本的にすべて死んでいる。厳密には、魚屋の主人は「死にたての魚が揃ってるよ〜!」と言わなければならない。お客は、品定めしながら「死にたてで美味しそう」と言わなければならない。
そんな一日の終りに、辺見庸の『永遠の不服従のために』に引用されていたフランツ・カフカの言葉を想い出す。
しかし、月と名づけられたきみをあいかわらず月とよんでいるのは、もしかしたらぼくが怠慢なのかもしれない。
4月19日(火)
某ラジオ番組を聴いていたら、朝日新聞 VS. 産経新聞の社説バトルが話題になっていた。この件に関しては、私も注目していた、というより愉しませてもらっていた、いや、オモシロがっていた。
これまでの流れ
産経 2005年4月7日
新しい歴史教科書をつくる会は、中学教科書に「従軍慰安婦」など極端に自虐的な記述が増えた平成八年、次代の日本を担う子供たちに正しい歴史を伝えようと集まった人たちだ。
それらを教育委員らが読み比べ、子供たちに最も良いと思われる教科書を選ぶのが採択である。
朝日 2005年4月8日
もう一つ驚いたのは、扶桑社の営業担当者が検定中の申請本を各地の教員らに渡していたことだ。同社は3度にわたり文部科学省から回収などを指導された。この事実が国会で明らかになった。
産経 2005年4月9日
朝日 2005年4月10日
個人的には産経新聞2005年4月9日朝刊の「例によって論点をすり替え、疑問に答えていないからだ。」というところが気に入っている。産経は朝日が疑問に答えてくれるモンだと期待していたらしい。コワモテの割には、なかなかカワイらしいところもあるじゃないか。ネットでは産経支持のサイトが目立つ。「次代の日本を担う子供たち」が育ってきているのだろうか。
もうひとつ言えば、朝日新聞2005年4月8日朝刊では「だれでも自分の国を大切に思う気持ちに変わりはない。」と言われているが、勝手に決めつけないで欲しい。他の人たちの「自分の国を大切に思う気持ち」は尊重するが、私自身は、人を愛したり、「エチオピア」の野菜カリーを愛することはあっても、国を愛したりはしないのです。なんなら、愛してやるから、その「国」とやらをここへ持って来て、この台の上に並べてみろィ(志の輔の落語「みどりの窓口」みたいだ)。
朝日 2005年4月6日朝刊 「「つくる会」 こんな教科書でいいのか」
見どころ(各社説から抜粋)
産経 2005年4月7日朝刊 「教科書問題 驚かされた朝日新聞社説」
朝日 2005年4月8日朝刊 「産経社説 こちらこそ驚いた」
産経 2005年4月9日朝刊 「朝日社説 本質そらしてはいけない」
朝日 2005年4月10日朝刊 「産経社説 「封殺の意味をご存じか」
朝日 2005年4月6日
私は、『新しい歴史教科書』を良いと思っていない。右翼が首長の都道府県(東京都や愛媛県など)の養護学校などの都道府県所管の学校や、神道を教育の軸にしている私立学校など、実際に採用される件数には限りがある。しかし、一般読者の数は他の教科書の群を抜いていると推測される。ある意味で日本で一番有名な教科書とも言える。
竹島について、「つくる会」の公民教科書は当初、「韓国とわが国で領有権をめぐって対立している」と書いていた。それが検定の結果、「韓国が不法占拠している」に修正された。
政府見解の通りにしなければ合格しないからだが、検定でそこまで求める必要があるのだろうか。これでは、国定教科書と差がなくなる。
その時期[教科書採択の時期]に、一社だけを狙い撃ちするような社説は、教育委員に不必要な予断を与えかねない。
そのためには、外国の圧力や国内の特定政治勢力の妨害に左右されない静かな環境が必要である。
「つくる会」の教科書は、子どもたちが日本に誇りを持てるようにしたいと願う余りだろうが、歴史の光の面を強調しすぎて、影の面をおざなりにしている。その落差が他社の教科書に比べて際立ち、バランスを欠いているのだ。
だれでも自分の国を大切に思う気持ちに変わりはない。しかし、同時に他国の人たちに十分目配りをしなくてはならない。そうでなければ、正しい歴史を次の世代に伝えることにはならない。私たちが批判したのはそのことである。
産経新聞はこれまで、「つくる会」の申請本の内容が外部に流れて報道されたり、批判されたりするたびに、「検定作業にあたる教科書調査官に先入観を抱かせる」「書かないのがマスコミの良識」などと批判していた。
ほかならぬ扶桑社が流出させていたことについて、産経新聞はどう考えるのだろうか。
例によって論点をすり替え、疑問に答えていないからだ。
問題の本質は、特定の教科書が気に入らないからといって、それを排除しようとすることは、自由な言論を保障するした民主主義のルールに反しないかという点だ。
検定に合格させるなとか、販売をやめろと主張したわけではない。問題があると判断して、評論しただけである。それが、なぜ「言論の封殺」になるのか。封殺という言葉の意味をご存じなのかと疑いたくなる。
多様な教科書を望むことと矛盾する、というのも奇妙な論法である。教科書は多様な方がよい、ということは、どんな内容でも批判が許されない、ということではない。
4月20日(水)
今日の NEWS23 で、衆院憲法調査会最終報告書の国会報告にに関して、舛添要一参議院議員 vs. 土井たか子衆議院議員という図式で特集をしていた。土井たか子、落ちたんじゃなかったっけ。比例?
舛添は、議員になってから人相悪くなったなぁ……じゃなくて、彼によると、自衛隊という実力組織を自衛目的の(自衛軍として)位置付ける。「国際貢献」のために、テロ特措法、イラク特措法、周辺事態法、PKO法など、その度ごとに立法して対処することはもはや限界なので改憲する、とのこと。恣意的な小手先の立法も問題だが、手間を省くための改憲は問題外だ。自衛目的の自衛軍を「国際貢献」のために派兵するという議論は矛盾していないか。
話題の「国民の責務」については、舛添によると、「国家権力の横暴から守るっていうことが、まず憲法の基本」だが、「時代が変わって、むしろ、個人が公のためにどうできるか」という観点を入れても良いという「時代風潮になってきたことは確か」だとか。憲法の基本についての前半の下りはその通りだが、後半については、そんな「時代風潮」感じたことないぞ。このことが、土井たか子が危惧するように、徴兵制にすぐに繋がるかは別として(長期的に少しづつならありえない話ではない。「改憲」から「徴兵制」への道のりを、短絡せずに説得力ある具体的な説明ができないところが社民党の限界か)、「個人が公のためにどうできるかという観点」ってのが、とにかく気に入らない。とくに「公」が解らない。public か、officialか? 「国民が国家に奉公するという観点 」と明言した上で信を問わないのはセコイ。
「憲法に違反している存在に対して変えることはしないで、憲法自身を違反した事実にあわせて変えようって訳ですね」「軍事的な行動でもって国際貢献をしないと貢献にならないなんていうのは、大間違いの考えだと思いますね」という土井の指摘はもっともだ。でも、社民党に自分の一票を託せるかというと、どうも……。私の支持/不支持に関係なく、辻元清美をああいうかたちで失った今、社民党は徐々に衰弱してゆき、復活することはないだろう。福島瑞穂、パっとしないしな。辻元、嫌いじゃなかったけどなぁ。
舛添 vs. 土井という図式だと、私のような支持政党のない護憲派は居心地が悪い。自分の意見がどこにも反映されていないという印象を強めるばかりだ。自民党と民主党の2大政党のシステムが事実上確立してしまうとなおさらだ。現実の投票の場面でも、無党派の護憲派で、社民党や共産党に投じようという人がどれだけいるだろうか。無党派の護憲派(ついでに反新自由主義)を代表してくれる勢力の登場を望む。
民主党の「創憲」というのもナカナカ笑わせる。以前は「論憲」だったが、党内でどの様な議論がなされていたのかは、伝わってこなかった。「論憲」とは、憲法に対する党の定まらない立場を隠す頬被りだったのかもしれないが、むしろ議論が紛糾している様を公開し、その議論に市民も参加させ、党の立場が定まってゆく過程を敢えて晒してゆくほうが、党内の民主性を示せたのではないか。立場の定まらぬままの「創憲」は危うくないだろうか。公明党の「加憲」は、取って付けた感じだが、護憲派の同党が改憲派の自民党と齟齬を来すことを惧れ、憲法の「改正」を争点にすることを避けているのだろう。
4月21日(木)
あ〜ヤダヤダ。
それにしても「火炎瓶処罰法違反」って、随分ピン・ポイントな法律だなぁ。条文は以下の通り:
(定義)
(火炎びんの使用)
2 前項の未遂罪は、罰する。
(火炎びんの製造、所持等)
2 火炎びんの製造の用に供する目的をもつて、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れた物でこれに発火装置又は点火装置を施しさえすれば火炎びんとなるものを所持した者も、前項と同様とする。
(国外犯)
附 則
中国銀行に火炎瓶投げ逮捕 「反日運動に反発」(共同通信 4月20日)
右翼も使うんですね、火炎瓶。学生やパルチザンじゃあるまいし。火炎瓶って、貧乏人の強い味方のイメージだけど、「タクシーで支店前に乗り付け」ってのもなんかチグハグだ。
20日午前6時20分ごろ、横浜市中区山下町、中国銀行(本店北京市)横浜支店に向けて男が火炎瓶を投げ、警戒中の加賀町署員に火炎瓶処罰法違反の現行犯で逮捕された。支店の外壁の一部と歩道が焦げたが、けが人はなかった。
男は神奈川県横須賀市安浦町、無職川辺克則容疑者(40)。「自分は右翼で中国の反日運動に反発をもっており、犯行を敢行した」と供述しているという。
調べでは、川辺容疑者はタクシーで支店前に乗り付け、ビール瓶にガソリンのような液体を入れてライターで着火、支店に向けて投げた疑い。
支店が入居するオフィスビルでは10日、玄関にエアガンのようなもので金属製の弾が撃ち込まれ、ガラスにひびが入る器物損壊事件があり、同署が警戒していた。
火炎びんの使用等の処罰に関する法律
子供の頃、爆竹をひと箱分ほぐして瓶に詰め#△◆@↓(犯罪防止の見地から自主規制)、公園の焼却場の灰起き場に埋めて点火したときの、予想以上の爆音と舞い上がる灰の迫力には興奮したなぁ。リアルゴールドの瓶で作った火炎瓶を防波堤に向かって投げて遊んだことも、今となっては良い想い出です(意外と割れにくい)。
昭和47・4・24・法律17号
改正平成13・11・16・法律121号
第1条 この法律において、「火炎びん」とは、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れ、その物質が流失し、又は飛散した場合にこれを燃焼させるための発火装置又は点火装置を施した物で、人の生命、身体又は財産に害を加えるのに使用されるものをいう。
第2条 火炎びんを使用して、人の生命、身体又は財産に危険を生じきせた者は、7年以下の懲役に処する。
第3条 火炎びんを製造し、又は所持した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第4条 第2条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第4条の2の例に従う。
この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
4月25日(月)
実は私、サン電子というメーカーの TalkMaster という製品を愛用しています。内臓のメモリーと SD メモリー・カードにラジオ番組をタイマー録音できるというシロモノです。IC レコーダーおよび mp3 プレイヤーとしても使えます。自分で言うのもナンですが、私のようなラジオ馬鹿にはうってつけの製品なのです。家電量販店などでは売られておらず、サイト経由でのメーカー直販か三省堂書店のみで販売されているようです(家電量販店で売らないのは、値崩れを防ぐためだという噂もあります)。
他の会社からも、似たような製品が出ていることは出ています。ソフィアシステムズからは、その名も「ラジオサーバー」という製品が出ており高性能なのですが、デカい。据え置きのデスクトップ型(?)といった感じで、持ち運びができない。サンヨーからも ICR-RB75-S という製品が出ています。こちらは非常に小型で持ち運び簡便なものの、チューナーがアナログなのです(アナログ・チューナーにはアナログ・チューナーの味わいがあるといえばあるのですが)。
そういうわけで TalkMaster をこよなく愛用していたのですが、今日、帰りに神田の三省堂書店に寄ってみると、今日は TalkMaster II の発売日だとか。デザインも微妙にオシャレになっており、機能も充実している模様。
「II」って、オイ! ホントは iPod が欲しいのに、ラジオ・チューナーが内蔵されているという理由で、デザインはイマイチでも TalkMaster を選んだのに。なんか、悲しいなぁ。「II」が出るということは、元祖TalkMasterは、結構売れたということだろう。「II」の愛好者よ、オレの屍を越えて行け。iPod にラジオ・チューナーは内臓されないのだろうか。
4月27日(水)
中国反日サイトが、当局の圧力で閉鎖されたとニュースで言っていた。反日デモも、ここのところ鎮静化している模様。
ところで、高校時代に、部室の建て直しに伴い古い部室が壊されることになったが、そのときに「どうせ壊すなら」ということで部員みんなでボコボコに壊したことがある(もちろん、顧問の先生の了承済みで。種目の特性上、他の運動部の部室からは離れていたので、他の方がたに迷惑をかけることもありませんでしたので、念のため)。アレは本当に愉しかったなぁ。日本大使館や日本料理店に投石して破壊している中国の人たちのお気楽な表情を見て、そんなことを思い出した。モノを壊すのって愉しいですからね。
4月29日(金)
石原裕次郎のモノマネでおなじみの 石浜ゆうたろう(私は結構気に入っている)が、「石浜」を取った「ゆうたろう」の名前で、日本テレビのお昼の通販番組に出ていた。しかも、裕次郎の格好ではなかった。ダブルのスーツもブランデー・グラスもなしで、カジュアルな格好の普通のおニイちゃんとしての出演だった。ヘンに芝居がかったぎこちない感じと、裕次郎のモノマネをしていない不自然さが気になり、ついつい最後まで観てしまった。しかし、ゆうたろうに気を取られて、商品が何だったか全く憶えていない。
休日は、こういう思いがけない面白いものが観れるところがスバらしい。