3月5日(土)
気持ちの上では5日、日付の上では6日、テレビ欄では5日の深夜に、忌野清志郎がテレビで歌っていた。カッコイイ。
サンボマスターと「スローバラード」をセッションしていたのが一番良かった。サンボマスターはCDショップの試聴コーナーで初めて見かけたときに、「顔がロックだ」と思わず手に取った。しかし結局、試聴のみで帰った。そのCDでは、曲の始めに「○×という曲です」みたいな台詞が入っていたのが新鮮だった。歌も演奏もウマい。歌詞もオモシロい。ソウルや R&B っぽいテイストも強く感じる(忌野清志郎と相性がよかったのもそのせいか)。『サンボマスターは君に語りかける』のジャケット写真でベースの人はコード弾きしているようだ。いわゆる「青春パンク」とは完全に一線を画す人たちであることは間違いなさそうだ。もうしばらく寝かせて、それでも聴きたくなったら買おう。ちょっと横道に逸れると、「青春」と「パンク」をくっつけるなんてシュール過ぎる、と思うのは私だけではないと信じたい。まるで「ハサミジャガー」や「テレビバエ」みたいじゃないか。そのうち自分から「『青春パンク』で天下を目指します」とか言い出す人たちが出て来やしないかと心配している。己がいま何をやっているのか自覚していることは重要だ。
「聴きたくなったら買おう」と言って、本当に買ったCDはほとんどない。脳内の「購買予定リスト」に、整理されないブラウザのブックマークのように溜まっていく一方だ。日本のシンガー・ソングライターでは柴田淳がアタマひとつリードしている感じか。声質としては、辛島美登里をドライにした印象で、曲によっては最後まで聴いていられないぐらい切ない歌声だ。ここ数年のアーティストのなかでは結構スゴイと思う。音楽の楽しみへの目醒めが、Sing Like Talking の曲というのも、親近感を覚える。そして美人だ。ガイジンでは Frank Gambale というギタリストがチョット気になっている。お茶の水の楽器店の店先で映像がプレイされていた。ギター、ベース、ドラムスのトリオでインタープレイっぽいことをしていた。ただ、読み方が判らない。楽器店の店先の手書きのポップには「フランク・ガンバレ」と書いてあったので、「そんなに応援しているのか?」と思ったら、Frank Gambale だった。ギャンベイル? ギャンバール? ガンバーレ? そもそもナニジンだ?
3月7日(月)
きょうは、変なニュースが目立った。
キャバクラ嬢に貢いで2000万の借金を抱えていた四十男が、冷たくあしらわれたことを理由に、そのキャバクラ嬢を刺し、殺そうとして逮捕されたそうだ。悲しいねぇ。そこまでやってしまうと笑えないじゃないか。笑えるところで寸止めしてくれれば、愛すべきおバカさんで済んだのに。人生80年。2000万の借金抱えて罪を背負って、まだ40年も残ってるとは。
北海道の陸上自衛隊第7師団が、演習中に迫撃砲を演習場の外に飛ばしてしまい、一生懸命に捜索したとのこと。草野球か? 探すんだったら絶対見つけて下さいよ。その捜索にも私が納めた税金が使われているわけですから。そういえば、ちょうど確定申告の時期です。
マヌケな男がシャレにならないことをヤってしまい、シャレじゃ済まない人たちがマヌケなことをヤラカシた、ということか。
3月9日(水)
カール・シュミット(新田邦夫[訳])『パルチザンの理論』(福村書店、1972年)を読んでいる。
原著は1963 年だが、最初に1972 年に福村書店から日本語訳が出て、後にちくま学芸文庫からも出たが(新訳かもしれない)、今はどちらも品切れ中だ。復刊して欲しい。カール・シュミットはナチスの御用学者だったこともあったが、結局はナチスに煙たがられた程のバリバリの国家主義者だ。
パルチザンの問題についてのわれわれの考察の出発点は、スペイン人民が1808年から1813年までの間において外国の征服者の軍隊に対して行ったゲリラ戦争である。この戦争において、はじめてその人民──市民以前の、工業化以前の、在来型の軍隊以前の人民──は、近代的な、フランス革命の経験から生まれ、よく組織された、正規の、軍隊と衝突した。それによって、戦争の新しい空間(Raum)が開かれ、戦争遂行の新しい概念が開発され、戦争と政治についての新しい理論が発生した。(p. 9)
出だしから打ちのめされて眩暈がした。国民に基礎おき、よく組織された、正規の軍隊が、非正規の武装集団(ゲリラ)に「戦争」を仕掛けるという、上の引用とはまったく逆のプロセスが、2001年の9月以降に起ったばかりではないか! かくて21世紀のわれわれは、戦争の更に新しい空間(Raum)が開かれ、戦争遂行の更に新しい概念が開発され、戦争と政治についての更に新しい理論が発生するのを目撃している。
3月10日(木)
自民党の衆議院議員が強制わいせつの現行犯で逮捕されたとか。「客引だと思った」から触ったそうだ。なんたる論理だ。
都立墨東病院の胸部心臓血管外科部長が、診察を騙って患者の全裸写真をデジカメで撮影し、準強制わいせつで逮捕されたらしい。彼のパソコンには他の女性患者の写真も保存されていたそうだ。
さらに、福岡の空港職員殺害事件で逮捕された犯人が、女性3人連続殺害だそうだ。どうやら、カネ目当てらしいが、普通に道を歩いている人間の所持金なんてたかが知れているではないか。コガネを盗るために命まで取るとは。
これらの方がたに高邁な倫理観なるものを求めても仕方がないのかもしれないが、イイ大人なのに「収支のバランス」の感覚すら身についていないのかと驚く。女性の体を触るために政治家生命を失い、女性の裸を撮影するために医師としての信用をドブに捨て、コガネを盗るために命を取った罪を背負う──単純な損得勘定ぐらいできるようになって頂きたい。
自民・中西議員を逮捕 強制わいせつ、現行犯(共同通信 2005年3月10日)
ちなみに衆院東京4区は、選挙結果に関して係争中なので補選はまだやりません。
警視庁麻布署は10日、路上で女性の体を触ったとして、強制わいせつの現行犯で自民党衆院議員中西一善容疑者(40)=東京都大田区南千束=を逮捕した。同党は、除名処分とする方向で週明けに党紀委員会を開催する。野党は議員辞職を要求しており、自民党の武部勤幹事長も記者団に「除名となれば辞職を求めることと同じだ」と述べた。公明党の冬柴鉄三幹事長は「本人が出処進退を明らかにすべきだ」と自ら辞職を決断すべきだとの考えを示した。
中西容疑者が3月15日までに辞職した場合、衆院東京4区は宮城2区、福岡2区とともに4月24日に補選が実施される。
女性患者にわいせつ行為 都立病院の医師逮捕(共同通信 2005年3月10日)
春が近づいたということか。
診察中に女性患者の裸を撮影するわいせつ行為をしたとして、警視庁捜査一課は10日、準強制わいせつ容疑で、東京都立墨東病院の医師で胸部心臓血管外科部長田辺貞雄容疑者(51)=江戸川区南小岩=を逮捕した。
田辺容疑者は撮影した事実は認めているが「わいせつ目的ではなく、メモとして残すため」と犯意を否認している。
警視庁は既に病院を家宅捜索し、デジタルカメラやパソコンなどを押収。パソコンには複数の女性の裸の写真が残っており、捜査一課は余罪があるとみて追及する。
調べでは、田辺容疑者は昨年7月7日、同病院検査室で、エコー検査の医療行為を装って女性患者(31)を全裸にし、カメラで撮影した疑い。
3月14日(月)
ライブドアとニッポン放送-フジテレビとのバトル、私としては単純にオモシロいので「もっとやれ!」という立場です。
堀江貴文社長に自分を重ね合せて息巻いている人たちの発言をブログなどで見ると「キモチワルい」と思わなくもない。しばらく前に、飯島愛が某ラジオ番組で「堀江社長に『変えて欲しい、変えて欲しい』って、いったい何を変えて欲しいワケ。アンタが変わればイイんじゃないの!」みたいなことを言っていた。一理あると思いつつ、それを言っちゃぁカワイソウではないか、とも思う。
いつだったか、「NEWS 23」で筑紫哲也と堀江が、ジャーナリズムについてのヴィジョンに関して議論していた。堀江は、ジャーナリズムは無色透明であるべきで、ニュースも一度ネットのフィルターを通ることで、関心を呼ぶ価値のあるニュースが残り、無価値なニュースや誤報(誤報の話は筑紫にとってはアキレス腱だろう)が淘汰される、という説を唱えていた。これに対し筑紫はジャーナリストの意地を見せて「一般の関心は低くても伝えるべきニュースはある」と喰らいついていた。堀江は、ジャーナリズムではないがと前置きして、反論の足場として『電車男』を例示していが、苦しいぞ、堀江。老練なジャーナリストを相手にするためにはもう少し勉強が必要だ。それに、たぶん筑紫は『電車男』なんて知らないぞ。ジャーナリズムの争点に関しては、私は筑紫を支持。
ニッポン放送の亀渕昭信社長は、同社保有のポニーキャニオンの株をフジテレビに売却することで自社の資産価値を下げる、いわゆる「焦土作戦」で堀江に一矢報いようとしているようだ。堀江がニッポン放送をいよいよ「支配」するに至ったときには、ニッポン放送が出しガラになっているようにお膳立てしようとしているのだとか。亀渕は、ぶら下がりの記者に対して「もしも万が一、ニッポン放送がライブドアの傘下に入ったら、ポニーキャニオンの企業価値ってのは著しく下がる」「今、フジテレビとの付き合いが凄く大きい訳ですんで、やはりフジテレビさんに買って頂くのがポニーキャニオンには一番いいんじゃないかな、と僕は思」うそうだ。君はどこの会社の社長だい? 個人投資家はほったらかしかい! 必死で自社の価値を下げようとする経営者なんて! これが「社蓄」ってヤツか? でも最近は、例の TOB に関係する企業の個人大株主が株主代表訴訟を起こそうという動きが散発しているようだ。こういう遊撃的な展開はオモシロい。フジサンケイグループは、政治的には右翼でも、企業体としては進取の気風があるのかと思っていたが……。
株に関しては、何かイヴェントが起こる度にライブドア、ニッポン放送、フジテレビの株が細かく値動きしているようなので、最終決着がつくまでのあいだにデイトレイディングで細かく売り買いして儲けるには、この3社はいい銘柄なのかもしれない──私は株の素人なので、的外れなことを言っている可能性が高いので、念のため。
「堀江はもっとウマくやるべきだった」という話もよく聴く。しかし、結果として、日本の企業文化や、企業の株式は誰にどの様なかたちで保有されているかなどが、私のような経済オンチにも解るかたちで透けて見えたわけで、もしウマくやられていたら、こんなにオモシロくはならなかったろう。
結論としては、ヤジ馬の立場が一番オモシロい。もう少し続けて頂きたいです。
3月15日(火)
3月15日(火)0:00、あるいは3月14日(火)24:00 からのラジオ番組で、いわゆる「みどりのおばさん」は、年収 800 万とか言っていた。
母子家庭支援のために始まった「みどりのおばさん」は、当初は日給数百円(正確な数字は失念)だったが、待遇改善要求が通り、都の正式な職員扱いとなり、年収 800 万になったとか。いいなぁ、実労2時間ぐらいだもの。